鴨猟の猟法、歴史、逸話など小郡伝来の鴨猟について豆知識を紹介いたします。


 
秋の彼岸のころを過ぎると、鴨はシベリアから寒さを避けてここ小郡へと渡ってきます。
なぜ小郡に多くの鴨が飛来したのでしょう?答えは簡単です。小郡の北西部には台地が多く、昔から農業が盛んなため農業用水として多くのため池が作られていたからです。その数は現在でも58箇所にも上ります。
 
小郡での野鴨猟が古くから行われてきたことは、旧藩時代に書かれた鴨上納古文書」に記されています。それによりますと特産物にも税金が課せられていた当時、野鴨も税金の対象であったため、地区の人々でも勝手に捕ることは禁じられていたようです。
しかし、明治以降、廃藩置県により共同の狩猟場として生まれ変わったため池では入札で捕獲者を定めていました。どちらにしても当時の人々にとっては鴨が渡ってくることは、とても景気が良いことであったのは事実のようです。


 
その後、鴨からは見えない場所に用意してある見張り小屋に隠れ鴨が来るのを待ち、ころあいを見はかり、無双網の仕掛け(針金)を引くと文字通り一網打尽のうちに鴨が捕らえられるというわけです。
小郡の野鴨猟は特徴的な狩猟法を用います。
それが「無双(むそう)網」です。この方法は「昼とり」と「夜とり」の2種類があり、鴨が朝夕に餌を食べる習慣を利用したものです。
狩猟に用いる道具は幅1m、長さ20m程の細長い網です。
野生の鴨は非常に敏感なため鴨がため池まで飛んでくる前に餌となる籾をまき無双網を仕掛けておきます。





 
鴨は野生の水鳥のなかでもっとも広く食用とされている鳥です。分類としましては「陸ガモ」「海ガモ」に大別されますが、植物性の餌をとる「陸ガモ」の方が臭みがなく美味とされています。そのなかでもマガモは料理に適した食材として広く利用されてきました。
通常マガモは“つがい”(2羽)で取引されていました。それに対し、オナガガモはマガモ2羽に対して3羽に相当するため“3羽物”と称され、またヒドリガモは“4羽物”等と呼ばれていました。また、栄養面ではリンや鉄分、ビタミンB1、B2などが豊富に含まれておりバランスの良い食材と言えるでしょう。


 
・マガモ 全長53cm(雌)〜61cm(雄)。
雄は首の羽色が暗緑色なので、『アオクビ』とも呼ばれている。

・オナガガモ 全長53cm(雌)〜75cm(雄)。
尾羽が長く、美しい中型である。
・ヒドリガモ 全長46cm。
中型で、頭頚部が栗色をしており、『アカガシラ』とも呼ばれている。
・トモエガモ 中型で美しく、雄の頭部にともえ型の班があるので、この名がある。
・コガモ 全長38cm。
日本産のっ最小型のカモで渡来数が最も多い。
 

昭和10年ごろの井の浦ため池